トリポーラスTMはソニーグループが開発した多孔質カーボン素材です。毎年世界で1億トン以上も排出され、その環境負荷が課題となっていた米の籾殻を原料にした吸着材の一種で、大きさの異なる3種類の超微細な穴が、従来は難しかった高分子物質やウイルスまでしっかりと吸着します。活性炭の6倍という高い吸着速度を誇り、衣類に使った場合、洗濯後も機能が持続します。水の浄化にも利用でき、例えば電気を必要としないトリポーラスの浄水設備が作れれば、無電化地域に住む人たちの生活の質の向上に貢献できるなどと期待されています。地球環境負荷の低減、循環型社会、サステナビリティといった人類の宿題に正面から向き合い生み出された、世界を変える可能性を秘めたトリポーラス。開発秘話はe-Beginの
そんなトリポーラスは、和歌山や北陸の繊維企業と生地製作を進めており、丸編みでは阪和が生地開発を担っています。ビギニンでの取材をきっかけに、和歌山大莫小とトリポーラスのコラボが動き始めたのですが一つ問題が。トリポーラスは着色原料を使わない炭由来の自然な黒が特徴なのですが、今回の和歌山大莫小のテーマは「白いポケT」。
それをどう白くするか。試行錯誤を経て辿り着いたのがハニカムメッシュでした。蜂の巣状の凹凸が表面にある吸汗速乾性に優れたバスケウェアでお馴染みの素材です。機能性を最大限に発揮できるよう、肌に当たる内側にトリポーラス、表面に白色のポリエステルが出るよう低速で編み立てました。その名も「黒い白T」。白に漆黒のトリポーラスが透けた独特の色みと、ルーズフィットが相まって都会的着られるのもポイントです。「1週間オヤジの枕カバーテスト」(開発チームの有志が実験)でも完全無臭だったという最強の消臭効果は、夏の外遊びをはじめ、洗濯ができない旅先、もしもの避難時など、頼りになる1着になりそうです。※トリポーラスはソニーグループ株式会社の商標です。